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小児がん:再発性/難治性小児がんの治療指針に対する機能的精密医療の実行可能性

Nature Medicine 30, 4 doi: 10.1038/s41591-024-02848-4

まれな再発性/難治性がんの子どもは、治療選択肢の制限に直面することが多く、また個別化治療の提案を可能にする予測バイオマーカーもほとんど存在しない。機能的精密医療(FPM)は、患者由来の腫瘍細胞の薬剤感受性試験(DST)とゲノムプロファイリングを組み合わせたものであり、FPMを行うことで、標準治療が尽きてしまった場合にも治療選択肢が見つかる可能性がある。今回の前向き観察研究の目的は、再発性/難治性がん患児のためのFPMデータを生成することである。主要評価項目は、臨床的に実行可能な時間枠内(4週間未満)で、FPMに基づく治療提案をFPM腫瘍検討会(FPMTB)に即時に返すことができるかを明らかにすることであった。副次評価項目は、本研究に登録された患者の臨床転帰を評価することであった。再発性/難治性の固形腫瘍と血液がんの患者25人が登録され、21人はDSTを受け、20人ではゲノムプロファイリングも完了した。DSTおよびゲノム解析に要した期間の中央値は、それぞれ10日以内と27日以内であった。19人(76%)の患者に対して治療提案が行われ、そのうちの14人が治療介入を受けた。6人の患者はその後、FPMに基づいた治療を受けた。これらの患者の5人(83%)では、これまでに受けた治療と比べ、FPMに基づく治療に関連して無増悪生存期間が1.3倍以上改善され、またFPMに基づかない治療を受けた8人の患者と比較して、無増悪生存率と客観的奏効率の有意な増加が見られた。我々の原理証明研究で得られたこれらの結果は、FPMが再発性/難治性がんを抱える小児期や青年期の患者の臨床治療に有益な影響を及ぼす可能性を明らかにし、大規模な前向き研究におけるさらなる検証の必要性を示している。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT03860376。

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