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コレラ:ワクチン接種キャンペーンの効率を向上させるためのコレラサーベイランスの強化

Nature Medicine 30, 4 doi: 10.1038/s41591-024-02852-8

コレラ菌(Vibrio cholerae O1)についての体系的な検査はほとんど行われていないので、世界的に供給量の限られた経口コレラワクチン(OCV)が、コレラに対する真の疾患負荷の最も高い地域に届いていない可能性がある。本論文では、準国家レベルの地理的標的化と詳細なワクチン効果による現象論的モデルを用いて、アフリカの35の国々でのさまざまな細菌学的検査確認やワクチン接種の標的想定下において、コレラ菌検査の拡大が、ワクチン予防接種キャンペーンに与える影響や費用対効果に及ぼす作用をモデル化した。体系的な検査後にコレラの確定診断に基づいてOCV対象を決定すると、コレラ疑い例を対象とする現状シナリオよりも有効性と費用効率は高く、回避症例はわずかに少なかった。年間発生率が1万人当たり10人より多い集団をワクチン接種の対象とすることで、試験シナリオでは、ワクチン接種完了者1000人当たり10.8症例を回避したのに対して(95%予測区間〔PI〕9.4〜12.6)、現状のシナリオでの回避症例はワクチン接種完了者1000人当たり6.9例(95%PI 6.0〜7.8)だった。現状と比較して試験シナリオでは、1例の回避症例当たり検査費用が31ドル(95%PI 25〜39)増加した一方で、ワクチン接種費用は248ドル(95%PI 176〜326)減少した。コレラのサーベイランスに体系的な検査を導入することで、OCVの世界的な供給効率や供給範囲を改善し、ワクチンの予防接種に資するであろう。

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