うつ病:医療資源の乏しい環境での高齢うつ病患者に対する自助式モバイルメッセージング介入 ─ 無作為化対照試験
Nature Medicine 30, 4 doi: 10.1038/s41591-024-02864-4
医療資源の乏しい環境で高齢者のうつ病を治療するためのスケーラブルな解決策が緊急に必要とされている。PRODIGITAL-D試験は、ブラジル・グアルーリョス市の社会経済的に恵まれない地域の高齢者を対象に、うつ症状の改善における、モバイル機器を利用したメッセージ通信(モバイルメッセージング)による心理社会的介入の有効性を評価する、実用的な単盲検2群個別無作為化対照試験である。本試験では、24のプライマリーケア診療施設に登録されている、うつ症状(PHQ-9〔9-item Patient Health Questionnaire〕のスコアが10またはそれ以上)を有する高齢者(60歳以上)が、心理教育と行動活性化に基づく6週間のViva Vida介入群(n = 298)、あるいはメッセージを1回だけ受信する群(n = 305)に無作為に割り付けられた。この期間を通じて、専門的な医療提供者からの支援提供はなかった。主要評価項目は3カ月後のうつ症状の改善(PHQ-9 < 10)であった。試験に登録された603人(平均年齢は65.1歳、451人〔74.8%〕が女性)のうち、527人(87.4%)が追跡調査を完了した。うつ症状の改善は、介入群では257人中109人(42.4%)に認められたのに対して、対照群では270人中87人(32.2%)であった(補正オッズ比 = 1.57、95%信頼区間 = 1.07~2.29、P = 0.019)。試験参加に関連する重篤な有害事象は認められなかった。これらの結果は、デジタルメッセージングによる心理社会的介入が、高齢者のうつ症状の短期的な改善に有用であることを示している。そしてこの介入は、高齢うつ病患者に対する治療のためのプライマリーケアプログラムに組み入れることができる可能性がある。Brazilian Registry of Clinical Trials registration:ReBEC(RBR-4c94dtn)。