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グリオーマ:再発高悪性度グリオーマにおけるIL-13Rα2を標的とするCAR T細胞の局所領域への送達 ─ 第1相試験

Nature Medicine 30, 4 doi: 10.1038/s41591-024-02875-1

キメラ抗原受容体T細胞(CAR T)療法は、現行の治療に反応性が悪いがんである再発高悪性度グリオーマの治療転帰を向上させる新しい戦略である。本論文において我々は、再発高悪性度グリオーマ(大部分が再発グリオブラストーマ〔rGBM〕)の患者65人におけるIL-13Rα2を標的とするCAR T細胞を評価する、完了した第1相試験について報告する。主要評価項目は、安全性と実行可能性、最大耐量/最大投与可能量、そして第2相推奨用量計画であった。副次評価項目は、全生存期間、疾患奏効、サイトカイン動態、腫瘍の免疫構造バイオマーカーであった。本試験は、局所領域へT細胞を投与する3つのルート(腫瘍内〔ICT〕投与、脳室内〔ICV〕投与、ICT/ICVの両ルートによる投与)と2つの製造プラットフォームを評価するように発展し、最終的に5群となった。第5群では、ICT/ICVの両ルートによる送達と最適化された製造過程を用いた。局所領域へのCAR T細胞投与は実行可能で、忍容性は良好であり、また全ての群で用量制限毒性はなく、最大耐量は決定されなかった。治療に関連すると考えられるグレード3以上の毒性は、グレード3の脳症が1件とグレード3の運動失調が1件であった。臨床上の最大投与可能量は、第5群での1投与サイクル当たり200 × 106個のCAR T細胞が達成されたが、他群では、製造の実行可能性の理由で、この用量を試験することも達成することもなかった。第2相推奨用量は、本試験のデータに基づいて今後の研究で検討される。SD(安定)あるいはそれより良い奏効が患者の50%(29/58人)で達成され、部分奏効が2人、完全奏効が1人、プロトコール・オフで追加のCAR Tサイクルを実施後2回目の完全奏効が1人であった。rGBMについては、全ての患者の全生存期間の中央値は7.7カ月で、第5群では10.2カ月であった。IFNγ、CXCL9、CXCL10などの炎症性サイトカインの中枢神経系での増加は、CAR T細胞の投与や生物活性と関連していた。治療前の腫瘍内CD3 T細胞レベルは生存期間と正の関連があった。これらの知見は、局所領域に対するIL-13Rα2を標的とするCAR T細胞療法は安全であり、一部の患者において臨床効果が期待されることを実証している。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT02208362。

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