食道がん・食道胃接合部がん:切除可能な食道がん/食道胃接合部がんにおけるネオアジュバント療法としてのニボルマブまたはニボルマブ+LAG-3阻害剤レラトリマブ ― 第Ib相試験およびctDNA解析
Nature Medicine 30, 4 doi: 10.1038/s41591-024-02877-z
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による食道胃がんの動態や臨床奏効の要因は、依然として十分に理解されていない。PD-1(programmed cell death protein 1)とリンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)の二重阻害によって生じ得る相乗作用は、これらの腫瘍における免疫療法の奏効を改善する上で役立つ可能性がある。我々は、第Ib相試験において、切除可能なステージII/ステージIIIの食道胃がん患者32人を対象に、ネオアジュバント療法として、化学放射線療法とニボルマブの併用(A群、n = 16)または化学放射線療法とニボルマブ–レラトリマブの併用(B群、n = 16)について評価するとともに、免疫応答を病理学的、分子的、機能的に詳細に検討した。主要評価項目は安全性で、副次評価項目は実現可能性であった。また、探索的評価項目には、病理学的完全奏効(pCR)および病理学的著効(MPR)、無再発生存期間(RFS)、全生存(OS)が含まれた。本研究は、A群で安全性の主要評価項目を達成したが、B群では毒性を軽減するための修正が必要であった。pCR率およびMPR率は、A群では40%および53.5%、B群では21.4%および57.1%であった。最もよく見られた有害事象は、倦怠感、吐き気、血小板減少症、皮膚炎であった。全体として、2年RFS率は72.5%、2年OS率は82.6%であった。ベースライン時のPD-L1(programmed cell death ligand 1)およびLAG-3の発現が高いほど、より強い病理学的奏効と関連していた。血中循環腫瘍DNA(ctDNA)についての探索的解析では、ICI導入後、術前および術後に、ctDNAが検出限界以下の患者は、RFS期間およびOS期間が有意に長いことが示され、また、ctDNAクリアランスはネオアンチゲン特異的T細胞応答を反映していた。本研究は、食道胃がんにおいてPD-1およびLAG-3の阻害を組み合わせた際の安全性プロファイルに関する知見を提供し、また、ネオアジュバント療法としてのICI時の全身腫瘍組織量をctDNA解析によって動的に評価できる可能性を浮き彫りにしていて、今後の介入治療の道を開く可能性がある。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT03044613。