パーキンソン病/疾患修飾療法:プラシネズマブは急速に進行する早期パーキンソン病における運動症状の進行を遅らせる
Nature Medicine 30, 4 doi: 10.1038/s41591-024-02886-y
プラシネズマブはαシヌクレイン凝集体に結合するモノクローナル抗体で、早期段階のパーキンソン病における有望な疾患修飾療法として盛んに研究が行われている。PASADENA第2相試験では、主要評価項目(運動障害疾患学会のパーキンソン病統一評価尺度〔MDS-UPDRS〕のパートI + II + IIIの合計)は達成されなかったが、プラシネズマブ治療を受けた患者は、プラセボ投与の患者よりも、運動症状の進行が遅いことが示された(MDS-UPDRSパートIII)。今回我々は、運動症状の進行が速い事前指定したサブグループにおいて、プラシネズマブが運動症状の進行に、より大きな有用性を及ぼしたかどうかを評価する探索的解析について報告する。プラシネズマブが疾患の進行に及ぼすと考えられる効果は、PASADENA試験における事前指定した4つの亜集団と探索的解析の6つの亜集団で評価された。これらの亜集団は、ベースライン時のモノアミンオキシダーゼB阻害薬の使用(有と無)、ホーン–ヤールの重症度分類(2度と1度)、レム睡眠行動障害(有と無)、データに基づくサブ表現型(広汎性悪性型と非広汎性悪性型)、ベースライン時の年齢(60歳以上と60歳未満)、性別(男性と女性)、罹患期間(12カ月を超える場合と12カ月未満)、診断時の年齢(60歳以上と60歳未満)、運動症状のサブ表現型(無動–筋強剛型と振戦優位型)、運動症状のサブ表現型(姿勢不安定歩行障害〔PIGD〕型と振戦優位型)に関してサブグループに分けられた。これらの亜集団において、プラシネズマブが運動症状の進行遅延に及ぼす効果(MDS-UPDRSパートIII)は、進行が急速なサブグループ(例えば、広汎性悪性型である参加者や、ベースライン時にモノアミンオキシダーゼB阻害薬を使用している参加者)でより大きかった。この探索的解析は、1年間の期間の臨床試験において、プラシネズマブが、進行のより速いパーキンソン病患者に対して運動症状の進行を大幅に抑制する可能性があることを示唆している。ただし、事後解析であるため、これらの結果を検証するにはさらなる無作為化臨床試験が必要である。