肝細胞がん:進行肝細胞がんにおける個別化ネオアンチゲンワクチンとペムブロリズマブの併用 ─ 第1/2相試験
Nature Medicine 30, 4 doi: 10.1038/s41591-024-02894-y
PD-1(programmed cell death protein 1)阻害剤は、肝細胞がん(HCC)の単剤療法としての効果はあまり高くない。個別化治療がんワクチン(PTCV)は、腫瘍特異的な免疫の誘導を介してPD-1阻害剤に対する応答性を増強する可能性がある。本論文では、マルチチロシンキナーゼ阻害剤による治療歴のある進行HCC患者において、最大40種類のネオアンチゲンをコードするDNAプラスミドPTCV(GNOS-PV02)を、インターロイキン12をコードするプラスミドおよびペムブロリズマブと同時投与した単群非盲検第1/2相試験の結果を報告する。安全性と免疫原性を主要評価項目とし、治療効果と実行可能性を副次評価項目とした。最も多かった治療関連有害事象は注射部位での反応で、患者36人のうち15人(41.6%)で観察された。用量制限毒性やグレード3以上の治療関連事象は認められなかった。RECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumours)1.1による客観的奏効率(修正治療企図)は30.6%(患者36人中11人)で、完全奏効を達成した患者は8.3%(36人中3人)であった。臨床奏効は、ワクチン内にコードされたネオアンチゲン数と関連していた。ネオアンチゲン特異的T細胞応答は、ELISpot(enzyme-linked immunosorbent spot)アッセイによって評価可能な患者22人中19人(86.4%)で確認された。マルチパラメトリック細胞プロファイリングでは、活性、増殖性、細胞溶解性のワクチン特異的CD4+およびCD8+エフェクターT細胞が明らかになった。T細胞受容体β鎖(TCRβ)バルク塩基配列解読の結果から、ワクチン接種はT細胞のクローン増殖と腫瘍浸潤を高めることが実証された。一細胞解析によって、治療後、細胞傷害性T細胞表現型を示すT細胞クローン増殖が明らかとなった。ワクチン接種後に腫瘍内で増殖したT細胞クローンのTCR相補性決定領域クローニングでは、ワクチンがコードするネオアンチゲンに対する反応性が確認された。我々の結果は、抗腫瘍T細胞の誘導に基づくPTCVの作用機構を裏付けており、またPTCVとペムブロリズマブの併用は、進行HCCにおいて臨床活性を有することを示している。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT04251117。