心血管疾患:アテローム性動脈硬化性心血管疾患の予防のための固定用量併用療法
Nature Medicine 30, 4 doi: 10.1038/s41591-024-02896-w
固定用量併用(FDC)療法(別名ポリピル療法)は、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスク因子を標的とし、ASCVDの世界的な負荷を軽減する戦略であると提唱されている。本研究では、FDC療法がASCVDの予防に及ぼす効果を評価する目的で、2016〜2022年の関連する研究について体系的な調査を行った。今回選択された研究は、少なくとも1つの血圧降下薬と1つの脂質低下薬を用いるFDC療法を評価する無作為化試験である。研究データは独立に抽出され、科学的根拠の質は複数の著者により評価され、統計学的異質性が低度から中度の場合の効果推定値は固定効果メタ分析を用いてプールされた。この解析の主な評価項目は、全死因死亡率、致死的および非致死的なASCVD事象、有害事象、収縮期血圧、低密度リポタンパク質コレステロール値、アドヒアランスだった。26件の試験(参加者2万7317人、女性43.2%、平均の年齢層52.9〜76.0歳)において、FDC療法は、一次予防の集団と二次予防の混合型集団の両方で、低密度リポタンパク質コレステロール値や収縮期血圧の低下、アドヒアランス率の高さ、有害事象と関連していた。大部分が一次予防の集団の研究では、FDC療法は、全死因死亡リスクの11%低下(5.6%対6.3%、相対リスク〔リスク比〕0.89、95%信頼区間0.78〜1.00、I2 = 0%、4試験、参加者1万6278人)と、致死的および非致死的なASCVD事象リスクの29%低下(6.1%対8.4%、相対リスク〔リスク比〕0.71、95%信頼区間0.63〜0.79、I2 = 0%、5試験、参加者1万5503人)と関連していた。二次予防のみの集団では、1件の十分な検出力のある試験において、FDC療法は、主要心血管イベント(MACE)のリスクを24%低下させることが示された。これらの知見は、全死因死亡とASCVDのリスクを下げるために、ポリピルの採用と実施を支持している。