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肺がん/ユニバーサルヘルスケア:ユニバーサルヘルスケア環境でのリスクに基づいた肺がんスクリーニングの成績

Nature Medicine 30, 4 doi: 10.1038/s41591-024-02904-z

肺がんは、世界的にがんによる死亡の主原因である。これまでの臨床試験で、高リスク者の低線量コンピューター断層撮影法による肺がんスクリーニングは、肺がん死亡率を20%以上減少できることが実証されている。肺がんスクリーニングは、米国では主要なガイドラインによって承認されており、4000カ所以上でスクリーニングが提供されている。米国以外での肺がんスクリーニングの導入は、最近まで遅れていた。オンタリオ肺がんスクリーニングパイロット試験では、2017年6月から2019年5月までの間に、PLCOm2012noRace肺がんリスク予測モデルで判定された7768人の高リスク者を集めることに成功した。合計で4451人の参加者をスクリーニングして維持し、適切な治療を含めた質の高い追跡調査を行うことができた。オンタリオ肺がんスクリーニングパイロット試験では、肺がんの検出率と早期がんの割合がそれぞれ2.4%と79.2%であり、深刻な問題はまれで、肺がんの検出感度は95.3%以上であった。スキャン像に異常が見られた場合は診断検査を行うものとし、特異性は95.5%(陽性適中率 35.1%)で、毎年のリコール、早期サーベイランス画像スキャン、臨床検査へのアドヒアランスは高かった(> 85%)。オンタリオ肺がんスクリーニングパイロット試験は、広く、多様で、人口の多い地理的地域において、どうすればユニバーサル・ヘルスケア・システム内で、リスクに基づいて構築された肺がんスクリーニングプログラムを実施できるかについての知見を示している。

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