Review Article
疾患のTGFβシグナル伝達経路を標的とする
Nature Reviews Drug Discovery 11, 10 doi: 10.1038/nrd3810
トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)のシグナル伝達を標的とする薬剤が数多く開発されている。一部の薬剤は第3相臨床試験が行われており、その適応症はさまざまである。前臨床あるいは臨床試験により、線維症やがんへの有用性、特にがんでは、がんワクチン同様、放射線療法や化学療法のような従来のがん治療の効果を増強することが示唆されている。また、マルファン症候群で生じる心臓血管症状の緩和のような、特殊な応用例も報告がある。本稿では、TGFβシグナル伝達経路がなぜ薬物標的となるのか考察し、TGFβ阻害の臨床応用の可能性について述べる。また、抗TGFβ療法に伴う問題について述べたうえで、このような諸問題に対する取り組み方、すなわち、投与の簡略化、局所投与、さらには、個々の患者に応じた用量およびバイオマーカーのモニタリングについて考察する。