Review Article

がんへの治療介入として、IAPタンパク質を標的とする

Nature Reviews Drug Discovery 11, 2 doi: 10.1038/nrd3627

アポトーシスの回避は、がんの治療法に抵抗しようとするがん細胞が獲得した重要な能力のひとつである。アポトーシス阻害(IAP)タンパク質は、がん細胞の生存と増殖を促進するさまざまな生物学的活性を発揮する。X染色体由来IAPは、アポトーシス促進・実行プロテアーゼであるカスパーゼを直接阻害する。一方、細胞内IAPタンパク質は、アポトーシス促進タンパク質のシグナル伝達複合体の集合化を阻害し、抗アポトーシス分子の発現を仲立ちする。さらに、IAP遺伝子の変異、増幅、染色体転座は、さまざまな悪性腫瘍に関与している。IAPタンパク質を標的として設計された治療戦略の中では、内因性のIAP阻害物質として機能するSMACと呼ばれるタンパク質のIAP結合部位を模倣することに基づく方法が最も一般的である。そのほかの治療戦略として、転写抑制やアンチセンス・オリゴヌクレオチドの利用が挙げられる。この概論では、ヒトの悪性腫瘍の治療介入として、IAPタンパク質を標的とする方法の現在および今後の展望を述べると同時に、IAPタンパク質についての最新の生物学についても述べる。

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