Review Article

炎症、癌などを治療するためのFc受容体を標的した治療法

Nature Reviews Drug Discovery 11, 4 doi: 10.1038/nrd2909

炎症性疾患や癌、感染症の治療において、抗体のFc 領域と結合するFc受容体(FcR)を直接的あるいは間接的な標的とすることは、独特な方法であり、かつ興味深い挑戦である。抗体のFc領域を介在して誘導される生物学的な反応は、強力で、複雑で、独特なものであり、かつ、この反応は活性化作用と阻害作用のどちらにも関与している。これらの性質は、 in vivoでの活性を向上させるための治療用モノクローナル抗体の操作に生かすことができる。また、FcRは全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどの自己免疫疾患の病因において鍵を握る存在である。最近、小分子化合物や、モノクローナル抗体および可溶性リコンビナントFcR細胞外ドメインといった生物学的製剤により、FcRの機能を拮抗させる治療法が本格化している。本稿では、免疫複合体が介在する炎症性疾患を克服するためのFcRの機能の利用方法を述べ、抗体による癌治療を向上するためのアプローチを考察する。

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