Review Article

基礎から臨床へ:OPG-RANK-RANKL経路の解明とデノスマブの開発

Nature Reviews Drug Discovery 11, 5 doi: 10.1038/nrd3705

骨は複雑な組織であり、筋肉と関節を機械的に支え、重要器官を保護し、カルシウムの恒常性を維持するミネラルの貯蔵庫となり、造血に必要な環境を備えた場所でもある。哺乳類における骨量の調節は、骨を形成する骨芽細胞と骨を吸収する破骨細胞による複雑な相互作用に支配され、様々なホルモンやサイトカインあるいは成長因子によって誘導される。骨量増減のバランスは時間とともに変化するため、加齢とともに骨折の危険が高まる。破骨細胞は癌の発病によって活性化されると考えられており、骨の痛みや骨折、脊髄圧迫などの罹患率を高めている。本稿では、過去の事例について報告し、これらの記録によって、骨吸収メカニズムの理解が深まり、オステオプロテグリンや受容体活性化因子であるNF-κB(RANK)とRANKリガンド(RANKL)が介在するシグナル伝達経路の解明と破骨細胞の生物学的役割の解明に至った経緯について述べる。また、リコンビナントRANKLアンタゴニストの開発について述べ、一連の解明によって、RANKLを標的とする抗体であるデノスマブが開発された経緯についても報告する。

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