Review Article
レプチンを再考する:その作用機序および糖尿病の治療法としての可能性
Nature Reviews Drug Discovery 11, 9 doi: 10.1038/nrd3757
1994年にレプチンが発見され、以来我々は、その生物学的作用を起こす細胞メカニズムあるいは分子メカニズムの理解を深めてきた。レプチンの抗肥満作用はよく知られているが、それに加え、レプチンは体重制限や食事制限に依存しない抗糖尿病作用を発揮し、特に1型および2型糖尿病の動物モデルにおいて糖尿病を改善する。さらに、リポジストロフィーによって重度のインスリン抵抗性を引き起こした患者にレプチン補充療法を長期間行うことで、血糖コントロールやインスリン感受性、血漿中トリグリセリドを改善する。これらの結果は、糖尿病の治療にレプチンを使用するという関心を促すことになっている。本稿では、レプチンが発揮する作用の中枢機構と臨床試験より得られた教訓を中心に、その糖調節機能について最新の知見を述べる。また、1型および2型糖尿病の治療にレプチンを適応する有用性についても述べる。