Review Article

統合失調症、アルコール依存症および痛みに対する新しい治療標的としてのグリシン輸送体

Nature Reviews Drug Discovery 12, 11 doi: 10.1038/nrd3893

グリシン輸送体は、グリシンの二重機能の内因性調節因子である。つまり、グリシン輸送体は、グリシン作動性シナプスの古典的阻害性神経伝達物質としての作用、およびグルタミン酸作動性シナプスのNMDA(N-メチル-D-アスパルギン酸)受容体を介する神経興奮の調節因子としての作用を有する。グリシン輸送体の主なサブタイプはGlyT1とGlyT2であり、これらは統合失調症やこれに関連する情動障害や認知障害、アルコール依存症、疼痛、てんかん、呼吸障害、びっくり病(過剰驚愕症)などの中枢神経系あるいは末梢神経系の障害の原因や治療法に関与すると考えられてきた。この総説では、GlyT1とGlyT2の阻害による治療可能性が理にかなっていることを述べ、グリシン輸送体を阻害する化合物の創薬および臨床開発、そしてグリシンの再取り込みと輸送の生物学についての最新の研究成果を紹介する。

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