Review Article
マトリックスメタロプロテアーゼ阻害に治療薬としての新たな希望はあるのか?
Nature Reviews Drug Discovery 13, 12 doi: 10.1038/nrd4390
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は、亜鉛依存性のエンドペプチターゼであり、哺乳類では24種類からなるファミリーである。MMPは、さまざまな疾患におけるその病的な役割と、ドラッガビリティーとから、有望な治療標的と考えられてきた。創薬の初期の取り組みでは、がんのプログレッションにおけるMMPの役割に焦点が当てられ、さまざまながんに対して50種類以上のMMP阻害剤の臨床試験が行われてきた。しかし、臨床試験は全て失敗に終わっている。失敗の原因としては、阻害剤が特異性を欠くこと、また、病態生物学の複雑性についての知識が不十分なことなどが挙げられる。MMPはさまざまな炎症過程に関わっていることも知られており、炎症性疾患を、MMP阻害剤を使って治療するという新たな治療機会も生まれている。本稿では、炎症性疾患におけるMMPの役割、および炎症状態でのMMPの阻害による治療の可能性の理解に関して、最新の進展を述べる。