Review Article
SCFユビキチンリガーゼを標的とする治療法
Nature Reviews Drug Discovery 13, 12 doi: 10.1038/nrd4432
ロテアソーム阻害剤によるがんの治療で臨床的な効果が見られていることから、このタンパク質分解系を標的とする治療の可能性が注目を集めている。しかし、プロテアソーム阻害剤は多数のタンパク質の分解を妨げるため、有害な作用を引き起こす可能性がある。その特異性は、一群の特異的タンパク質を分解の標的とするユビキチン–プロテアソーム系の構成成分を阻害することで高めることが可能と思われる。Fボックスタンパク質群は、SKP1–CUL1–Fボックスタンパク質(SCF)ユビキチンリガーゼ複合体の中で、基質を標的とするサブユニットである。SCFユビキチンリガーゼ群は、非常に多様な基質を分解することで、細胞レベルと生物体レベルにおいて数多くの過程を制御しており、その調節不全はさまざまな病的状態と関連している。SCFユビキチンリガーゼ群は基質に対する特異性が高いことが特徴であり、このためこれらのリガーゼは有望な薬剤標的になる。しかし、SCF複合体の治療的な操作の可能性は依然として発展途上の領域である。本稿では、SCFを介した生物学的過程を標的としたヒト疾患の治療戦略の可能性を探究し議論する。