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p53経路を標的とした薬剤開発:臨床効果に至る経路を理解する

Nature Reviews Drug Discovery 13, 3 doi: 10.1038/nrd4236

腫瘍抑制因子p53はヒトのがんにおいて変異の頻度が最も高い遺伝子であり、ヒトに生じる全がんの半数以上でこの遺伝子に変異がみられる。p53経路を活性化あるいは修復可能な薬物を開発しようとする熱心な取り組みによって、現在ではこうした薬剤の臨床試験が行われる段階となった。p53の負の制御因子であるMDM2の阻害剤について初めて得られた臨床試験の結果から、MDM2阻害剤は効果があるものの主たる薬理活性による(on targetな)毒性があることが示唆された。本稿では、p53経路を調節する薬剤開発についての現状、および明らかになった新たな標的経路について述べる。標的タンパク質–タンパク質相互作用、そして変異しやすい転写因子を標的とするという努力によって、創薬に対する数々の興味深い新しいアプローチが生み出されている。

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