Review Article
がんで翻訳装置を標的化する
Nature Reviews Drug Discovery 14, 4 doi: 10.1038/nrd4505
mRNA翻訳の調節異常は、腫瘍形成でよく見られる特徴の1つである。多くのがん遺伝子や腫瘍抑制因子は翻訳装置に影響を及ぼし、がんの遺伝的構成とは無関係に、腫瘍細胞に広く見られる特徴である異常な翻訳を引き起こす。そのため、タンパク質合成装置の構成因子を標的とする治療薬は、腫瘍内の不均一性を克服する新しい抗がん剤として有望である。本総説では、eIF4F(eukaryotic translation initiation factor 4F)複合体に特に注目して、がんにおける翻訳の役割を述べ、こうした結果を臨床に「翻訳」することを目的とした最近の試みの概観を紹介する。