Analysis
4大製薬会社の薬剤候補の損耗の分析
Nature Reviews Drug Discovery 14, 7 doi: 10.1038/nrd4609
製薬業界は、医薬品開発の損耗率が高いという問題への対処を今も強く求められている。低分子薬候補の物理化学的性質との関連の可能性を分析することで、有効性と安全性に関連した新薬開発の失敗件数を減らすための試みがこれまで行われてきたが、各社から提供されるデータセットの規模が小さいため確たる成果が得られていない。本論文では、アストラゼネカ社、イーライリリー社、グラクソ・スミスクライン社、ファイザー社の薬剤候補の損耗に関するデータを集積し、解析した結果について説明する。今回の解析では、化合物を最適化する際に物理化学的性質を制御することが薬剤候補レベルの質を有する化合物を同定する上で有用なことが再確認され、化合物の物理化学的性質と安全性の問題を原因とする臨床的失敗との関連が初めて示されている。また、今回の解析結果は、物理化学的性質の制御をこれ以上進めても損耗率に有意な効果を生む可能性は低く、むしろ安全性と関連した臨床での失敗への取り組みを増強する必要があることを示唆している。この分野での今後の展開には、企業間の共同研究を拡大することが極めて重要になるだろう。