Perspective

ESKAPE微生物に対する抗菌剤の創薬という迷路から抜け出す方法

Nature Reviews Drug Discovery 14, 8 doi: 10.1038/nrd4572

ESKAPEing the labyrinth of antibacterial discovery 抗菌剤耐性は、世界の公衆衛生に対してますます大きな脅威になっている。特に懸念されているのが、数多くの重症院内感染症の原因となっているESKAPE微生物(Enterococcus faecium、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、Acinetobacter baumannii、緑膿菌、エンテロバクター菌種)の多剤耐性だ。有望な薬物がいくつか開発段階にあるが、新たな抗生物質骨格の発見が急務になっている。しかし、抗菌剤研究において、意味のある細胞活性を有する新たな低分子、特に多剤耐性グラム陰性病原菌に対して有効な低分子の同定が進んでいない。こうした困難の究極的な原因は、細菌の排出系、そして、化合物が細菌の細胞膜を透過する過程が十分に解明されていないことだ。このOpinionでは、アストラゼネカ社が過去10年間に実施した標的ベースのスクリーニングと表現型スクリーニングによる知見について記述し、その後のいくつかの化学的課題を論じ、最後に、新たな抗菌剤の創薬に道を開く可能性のあるコンピューターモデリングと高度な生物学的ツールを併用した新たな方法について記述する。

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