Review Article
治療標的としてのSLCトランスポーター:新たな機会
Nature Reviews Drug Discovery 14, 8 doi: 10.1038/nrd4626
溶質輸送体(SLC)トランスポーターは、生体膜を介したさまざまな基質の輸送を促進する300種以上の膜結合タンパク質のファミリーで、細胞による栄養の取り込みから薬物とその他の生体異物の吸収に至る生理過程で重要な役割を果たしている。いくつかのクラスの市販薬が、神経伝達物質トランスポーターなど、よく知られたSLCトランスポーターを標的としている。また、最近になって特徴が明らかになったSLCトランスポーターが希少疾患と一般的な疾患において果たしている役割に関する有力な証拠が人類遺伝学研究によってもたらされており、新しい治療法の開発機会が数多く存在していることが示されている。本総説では、ヒトの疾患におけるSLCトランスポーターの役割に関する知識を要約し、そのようなトランスポーターを標的とする方法を説明し、SLCトランスポーターを調節する現行の医薬品と治験薬だけでなく、有望な薬物標的を明らかにする。