Review Article

疾患における2型炎症の重要な近位駆動因子の標的化

Nature Reviews Drug Discovery 15, 1 doi: 10.1038/nrd4624

TH2(Tヘルパー2)型応答を含む全身性2型炎症が、古典的なアレルギー疾患(例えば喘息)とそれ以外の特定の炎症性疾患の両方の統一的特徴として注目を集めてきている。広く作用する免疫抑制剤を用いて炎症を軽減し、又はTH2経路の下流産物、例えば免疫グロブリンE(IgE)に標的を絞り込むのではなく、重要な近位2型サイトカインであるインターロイキン(IL)-4、-5、-13を標的にする取り組みは、複数の疾患にわたって治療効果を達成するための有望な戦略となっている。IL-4、IL-5、IL-13のいずれかを標的にする喘息治療薬の臨床試験がいくつか行われ、当初の結果は期待外れだったが、その後、個別化治療が行われ、「アレルギー性」表現型を示す喘息のサブタイプで治療効果が達成された。より最近になると、この治療薬の効果が喘息患者の集団に幅広く拡大した。この結果は、上流の重要な駆動因子が正しく阻害される場合に、2型炎症が重症喘息患者の集団全体に広く関係することを示している。さらに、喘息の併存症となることの多い鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎とアトピー性皮膚炎において、IL-4とIL-13の同時阻害が著しい臨床活性を示し、中心的な「駆動因子経路」を標的にすることが複数のアレルギー疾患の治療に役立つという仮説が裏付けられた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度