Review Article
炎症性疾患と自己免疫疾患の抗コロニー刺激因子療法
Nature Reviews Drug Discovery 16, 1 doi: 10.1038/nrd.2016.231
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF、別名CSF1)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)とインターロイキン3(IL-3)は、それぞれ外傷と炎症に対する宿主の応答において一定の役割を果たすことがあり、炎症性疾患と自己免疫疾患だけでなく、がんの場合にも上記CSFを標的とする治療法への関心が急激に高まっている。標的療法が臨床医学で成功を収めるには、現在の方法に基づいた詳細な説明が必要である。それぞれのCSFは、独自の生物学的役割を担っており、特定の条件を標的とするために用いることができる可能性が示唆されている。本総説では、各種CSFについて、どのように標的とするのかという点に重点を置いて比較し、関連性のある臨床試験データについて論じ、それぞれのCSFを標的とする治療法の臨床応用可能性を概説する。本論文の重要な点は、CSFの生物学的性質の新規性を論じ、治療決定に影響を及ぼすことのあるCSFをめぐる誤解と論点の部分的な解明を目指したことにある。