Review Article
心筋梗塞後の心臓再生と修復:新規治療法の臨床移行可能性
Nature Reviews Drug Discovery 16, 10 doi: 10.1038/nrd.2017.106
心筋梗塞後心不全の現行の治療法は、効果が限定的で、治癒は望めない。再生医学的手法は大きな注目を集めているものの、推定幹細胞と推定前駆細胞の移植による臨床的取り組みからは、ほとんど成果が得られていない。最近、ゼブラフィッシュ、新生仔マウスなどのモデル生物における心臓の内因性再生に関する研究が複数行われ、心筋細胞の増殖、常在幹細胞のニッチ、血管新生、免疫系、細胞外マトリックスのそれぞれの役割に関する機構的知見が得られた。こうした知見からは、心筋梗塞後の修復を促進する治療法の標的となり得る新規経路が明らかになり、細胞の再プログラム化や心筋細胞の移植による心臓再生を目指した今後の取り組みの指針となる教訓がもたらされた。