Review Article
死の標的:がんにおけるエピジェネティックな変化を標的とする
Nature Reviews Drug Discovery 16, 4 doi: 10.1038/nrd.2016.256
ヒトのがんにおいて、エピジェネティックな調節遺伝子群の変異はありふれていることが、この数年間ではっきりとしてきた。こうした遺伝子の変異を持つがんを、特異的な化学阻害剤を使って標的とする治療戦略が現在開発されている。さらに、従来の治療法では標的にできないがんの機能喪失変異の利用を可能にする、合成致死の概念に基づいた補完的治療戦略にも弾みがついている。これら2つの治療戦略はいずれも、いくつかの臨床試験が進行中である。本総説では、エピジェネティック治療薬の発見および開発における最近の進歩を紹介し、この領域における進展を推進するための将来の研究の進め方を提案する。