Review Article
治療標的としてのアンジオポエチン–TIE経路
Nature Reviews Drug Discovery 16, 9 doi: 10.1038/nrd.2016.278
血管内皮細胞のアンジオポエチン(ANG)–TIE増殖因子受容体経路は、炎症と腫瘍血管新生、転移の際に血管透過性と病理的血管リモデリングを調節する。このANG–TIE経路を標的とする薬剤が、腫瘍領域の用途と眼科領域の用途で臨床開発中である。臨床開発の目的は、がん、滲出型加齢黄斑変性症、および黄斑浮腫に対する現行の血管内皮増殖因子(VEGF)を用いた抗血管新生療法を補完することにある。ANG–TIE経路は、血管の安定化に独特な機能を果たすため、敗血症と臓器移植、アテローム性動脈硬化症、糖尿病の血管合併症の治療標的としても注目を集めている。本総説では、血管疾患においてANG–TIE経路が果たす機能の重要な側面を論じ、この経路を標的とする新たな治療法の開発に関する最近の動きについて概説する。