Perspective

医薬品化学に用いる合成ツールボックスの拡充

Nature Reviews Drug Discovery 17, 10 doi: 10.1038/nrd.2018.116

医薬品化学の重要な目的は、安全で有効な薬剤となる可能性を秘めた生物活性化合物を効率的に設計、合成することにある。ほとんどの医薬品化学プログラムは、既知のロバストな化学反応群に由来する一定種類の分子からなるスクリーニング用化合物コレクションに依存している。その後のヒット化合物とリード化合物の最適化における有機合成化学の役割の分析では、わずか数種類の化学反応が大半を占めていることが示唆されている。そのため、創薬における新たな合成法の導入は限られている。本論文では、反応パラメーターと合成設計ツール、合成法、革新的な化学反応に関する既知の限界を論じた上で、医薬品化学者が用いる合成ツールの拡充を図る機会を明らかにする。産学の合成化学者と医薬品化学者がもっと熱心に対話すれば、今後の創薬で新しい方法の影響力が高まると考えられる。

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