Analysis
ヒトゲノムにおける未開拓の治療薬開発機会
Nature Reviews Drug Discovery 17, 5 doi: 10.1038/nrd.2018.14
生物医学研究と治療薬開発の大部分は、ヒトゲノムのごく一部に集中している。2014年に米国立衛生研究所は、ヒトゲノムにコードされたタンパク質に関する知識の空白部分のマップを作製し、現在は研究が不十分だがドラッガブルな可能性を秘めたタンパク質の探索を促進する戦略的活動の1つとしてIlluminating the Druggable Genome(IDG)を始動させた。本論文では、IDGのKnowledge Management Centerによって行われたさまざまなゲノム、プロテオミクス、化学、疾患関連のリソースデータの系統的な収集と処理が、ヒトタンパク質の標的開発レベル(TDL)を追跡調査するためのエビデンスに基づく判定基準の策定をどのように可能にしたかについて論じる。これによってヒトプロテオームに含まれるタンパク質の約3分の1に知識の大きな空白のあることが示唆されている。また、Gタンパク質共役型受容体、プロテインキナーゼ、イオンチャネルなど非常に重要な薬剤標的クラスだけでなく、TDLのカテゴリーに着目し、生物医学研究と治療薬開発研究にとって未開拓の機会が何であるのかを説明する。