Perspective
RNAを標的とするドラッグライクな低分子を発見するための原理
Nature Reviews Drug Discovery 17, 8 doi: 10.1038/nrd.2018.93
RNA分子は、細胞の情報伝達と遺伝子調節に必須であり、RNAは多くのヒトの疾患に関係しているとされる。メッセンジャーRNAとノンコーディングRNAには、高次構造を有するエレメントが含まれており、これらの構造の多くが機能にとって重要だと示唆されている。低分子によってこうしたRNAを標的する方法は、「アンドラッガブルな」標的タンパク質に関連する細胞過程を含め、多くの細胞過程を調節する治療法を生み出す機会をもたらしている。このように有望であるにもかかわらず、RNAを標的とする合成低分子として臨床使用されているのは、現在のところ1つのクラス(リネゾリド抗菌薬)のみである。しかし、RNAを標的とする低分子リガンドが続々と突き止められており、この分野への関心が急速に高まっている。本論文では、RNAを標的とする低分子薬を発見するための原理を論じ、その最も重要な課題が、適切な標的構造、すなわち情報量が多く、結果として適切なリガンド結合ポケットを突き止めることであるという主張を展開する。もしRNA中のそうしたドラッガブルな結合部位に研究が集中すれば、ドラッグライクな低分子の典型的な物理化学的特性に関する広範な知識によって、RNAを標的とする低分子創薬が、標的タンパク質創薬とほぼ同じ難度になる(同じ難度になるにすぎない)可能性がある。