Perspective

内因性カンナビノイドを標的とする新しい方法と課題

Nature Reviews Drug Discovery 17, 9 doi: 10.1038/nrd.2018.115

内因性カンナビノイドシグナル伝達系が発見されたのは、向精神作用のある大麻(Cannabis sativa)製剤中の化合物が、このシグナル伝達系の受容体を標的としているからである。内因性カンナビノイドは数々の生理過程と病理過程に関与しているため、内因性カンナビノイドシグナル伝達を標的とする新しい治療法の探索は、困難だがやりがいがあり、見返りも期待できる。内因性カンナビノイドに化学的に近縁な数百種のメディエーターは、代謝経路が似ているものが多いものの標的は異なっているため、内因性カンナビノイド代謝酵素の阻害剤の開発が複雑化したが、多標的薬の合理的設計が活発になった。その一方で、植物性大麻を含む薬剤が臨床の最前線に登場し、非常に高い親和性でカンナビノイド受容体1と結合するように設計された合成アゴニストが社会に対する脅威となり、腸内マイクロバイオームからのシグナル伝達の一部が内因性カンナビノイドネットワークを経由することも明らかになった。このOpinionでは、内因性カンナビノイドシグナル伝達を変化させる薬剤開発の現状とこの複雑なシグナル伝達系の薬理的操作の可能性について説明する。

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