Review Article

敵を味方に変える:がん関連繊維芽細胞を標的とする

Nature Reviews Drug Discovery 18, 2 doi: 10.1038/s41573-018-0004-1

がんを中心に据えた治療学の現在のパラダイムは、通常、その悪性腫瘍を根絶するには十分ではない。がん間質が腫瘍の再発および治療抵抗性を促す可能性があるためである。腫瘍の微小環境に居住する全てのストローマ細胞の中で、がん関連繊維芽細胞(CAF)は最も豊富に存在していて、がんのプログレッションに密接に関係している。CAFは、腫瘍細胞や他のストローマ細胞の生物学を細胞間接触を介して調節しており、これによってさまざまな調節因子が放出され、細胞外マトリックスを合成・再構築される。このようにしてこれらの細胞は、がんのイニシエーションおよび発生に影響を及ぼしている。特定の細胞表面マーカーに基づいたCAFの特性解析が最近行われたことで、CAFの表現型の不均一性および機能的多様性に関する我々の理解が深まり、CAFを標的としたがん治療法が検討されるようにもなった。本総説では、CAFの顕著な生物学的特徴、細胞の起源、表現型の可塑性および機能的不均一性に関する現在の知識について述べ、CAFががんのプログレッションに寄与していることを明確に示す。さらに、関連のある橋渡し研究における進展と、CAFを標的としたがん治療の有望な治療戦略に光を当てる。

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