Review Article
抗体と毒液ペプチド:イオンチャネルの新しい様式
Nature Reviews Drug Discovery 18, 5 doi: 10.1038/s41573-019-0013-8
イオンチャネルは、興奮性組織と非興奮性組織の両方において根本的な役割を果たしており、そのため、多種多様な神経疾患、心血管疾患、代謝疾患だけでなく、がんと免疫調節の治療薬の標的としても関心を集めている。しかし、特定のイオンチャネルのサブタイプに対する選択性を低分子薬で達成することは難しい課題であり、現在は、生物製剤を用いてイオンチャネルを標的とする傾向が強まっている。1つの方法として、既存または新規の毒液由来ペプチドの薬物動態を改善するというものがある。これと平行して、ポリクローナル抗体を用いた初期研究で、抗体を用いてイオンチャネル機能を阻害する方法が技術的に実現可能なことが実証され、現在は、多数の前臨床研究プログラムで、利用可能な技術を総動員して、イオンチャネルの細胞外ループに対する従来型モノクローナル抗体やモノクローナルナノボディと組換え型の抗体やナノボディが生成されている。本総説では、イオンチャネル創薬の現状を概説してから、生物製剤を用いてイオンチャネルを標的とする方法の例として、プリン作動性受容体チャネルP2Xプリン受容体7(P2X7)と電位依存性カリウムチャネルKV1.3、電位依存性ナトリウムチャネルNaV1.7を用いて、最近の研究の進展について論じる。