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がん、神経変性、それ以外の病態でも一般的な治療標的となるトリプトファン代謝
Nature Reviews Drug Discovery 18, 5 doi: 10.1038/s41573-019-0016-5
キヌレニン経路(KP)によるL-トリプトファン(Trp)代謝は、免疫と神経機能、腸内恒常性の調節に関係している。がんから神経変性疾患までのさまざまな疾患におけるTrp代謝の不均衡は、KP、とりわけ主要な律速酵素であるインドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)とIDO2とトリプトファン-2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)だけでなく、キヌレニンモノオキシゲナーゼ(KMO)を標的とする治療法への関心を高めた。ただし、低分子IDO1阻害剤は、がん免疫療法の臨床試験の初期で有望視されたものの、第III相試験は否定的な結果となった。本総説では、Trp代謝の生理学的役割と病態生理学的役割をまとめた上で、複数の疾患における薬剤開発の広大な機会と課題を重点的に論じる。