Perspective

訓練された免疫を標的とする治療

Nature Reviews Drug Discovery 18, 7 doi: 10.1038/s41573-019-0025-4

免疫療法は、免疫応答の調節異常が重要な役割を果たす疾患の治療を劇的に向上させている。ただし、現在開発中の免疫療法戦略のほとんどは、適応免疫系を働かせるものとなっている。この10年で、自然免疫系の骨髄系細胞集団(単球、マクロファージ、樹状細胞)とリンパ球細胞集団(ナチュラルキラー細胞、自然リンパ球)の正常に機能しているプログラムが、代謝プログラム化とエピジェネティックなプログラム化によって長期間変化することが実証された。こうした再プログラム化により、骨髄系細胞とリンパ球細胞は高応答あるいは低応答になり、2次刺激に対する免疫応答が変化する。この事実上の自然免疫記憶は、「訓練された免疫(trained immunity)」と呼ばれ、免疫の恒常性、プライミング、訓練、寛容の微妙なバランスを調節するための強力な「標的化の枠組み」になっている。本論文では、自然免疫細胞を標的とし、訓練された免疫を調節して、さまざまな免疫関連疾患における長期的な治療効果を達成する方法に関する我々の見通しを提示する。こうした免疫関連疾患には、過剰な「訓練された免疫」を特徴とする疾患(例えば、炎症性疾患・自己免疫疾患、アレルギー、心血管疾患)と異常な「訓練された免疫」によって引き起こされる疾患(例えば、がん、一部の感染症)が含まれる。

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