Review Article
薬剤標的としての可溶性リガンド
Nature Reviews Drug Discovery 19, 10 doi: 10.1038/s41573-020-0078-4
これまでの主要な薬剤標的クラスは、受容体、酵素、イオンチャネル、トランスポーターであったが、過去20年間に抗体ベースの治療薬が台頭したことが主な原因となって、炎症性サイトカインなどの可溶性タンパク質リガンドが薬剤標的クラスとして重要性を増している。本総説では、1992年以降のいずれかの時点で臨床開発段階に入ったリガンド標的薬を分析し、99種のリガンドを標的とした291種の薬剤を特定し、臨床試験の対象となったリガンド、薬剤、適応の特徴の傾向について論じる。過去5年間にFDAが承認したリガンド標的薬は34点に倍増し、臨床試験で検証された標的リガンドは22点に倍増した。主要な標的リガンドのタイプ(全体の70%)はサイトカインと増殖因子であり、承認薬と臨床試験中の薬物の治療領域として最も多いのが、炎症と自己免疫疾患、がんと眼科疾患で、これらの疾患においてサイトカイン経路と増殖因子経路の一方または両方が中心的な役割を果たしていることを反映している。