Review Article
γδT細胞とその受容体をがん細胞療法へと橋渡しする
Nature Reviews Drug Discovery 19, 3 doi: 10.1038/s41573-019-0038-z
がん免疫療法に用いられるチェックポイント阻害薬の臨床応答には腫瘍のネオアンチゲンを識別するαβT細胞の存在が必要と思われ、このため、この治療法は主として変異負荷の高い腫瘍に限定されている。キメラ抗原受容体(CAR)T細胞のようなαβT細胞を操作することにより、こうした制限に対処できる手法が集中的に研究されているが、こうした手法には、固形腫瘍においてCAR T細胞の適切な標的が乏しいなどの別の問題がある。このため、トランスレーショナルリサーチの研究者と商業的パートナーの間では、γδT細胞とその受容体の治療用途での使用に新たな関心が寄せられている。全体的にみると、γδT細胞は強い細胞傷害性を示し、この作用は通常、腫瘍関連抗原あるいはネオアンチゲンには依存せず、正常組織は維持しながら、多岐にわたる血液腫瘍および固形腫瘍に向けられる。しかし、自己識別のメカニズムと同様に、腫瘍特異的γδT細胞の正確な作用機構も依然としてほとんど分かっていない。本総説では、γδT細胞とその受容体を利用したがん免疫療法を、臨床で実現にするため課題と機会について考察する。