Review Article

がん免疫療法のためのNK細胞

Nature Reviews Drug Discovery 19, 3 doi: 10.1038/s41573-019-0052-1

ナチュラルキラー(NK)細胞は、隣接する細胞の中から発がん性形質転換に関連する表面マーカーを示す複数の細胞を迅速に殺傷できる。こうした免疫細胞の中で他に類を見ない特性に加えて、抗体応答とT細胞応答を増強する能力を有するNK細胞は、抗がん剤としての役割を果たすことができる。腫瘍には、内因性NK細胞の攻撃に抵抗するためのいくつかの機構が生じる可能性があるが、NK細胞は、ex vivo活性化、増殖と遺伝子改変によって、抗腫瘍活性を大いに高め、腫瘍の抵抗性を克服できるようになる。これらの方法の一部は、臨床グレードのプラットフォームに応用され、血液悪性腫瘍や固形腫瘍の患者に対するNK細胞注入の臨床試験に役立っており、これまでのところ有望な試験結果が得られている。次世代のNK細胞産物は、活性化シグナルと増殖を増強し、阻害シグナルを抑制し、腫瘍へのホーミングを促進するように改変が行われる。そして、これらの改変は、NK細胞の臨床活性を著しく高めることが期待されている。さらに、分子標的療法との関連では、NK細胞によって腫瘍細胞の殺傷が増加したことの証拠が出始めた。こうした観察結果は、免疫応答を増幅する能力と相まって、NK細胞が多面的ながん治療戦略の重要な構成要素となる態勢が整ったことを示唆している。

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