Perspective
経口ペプチド治療薬の進歩
Nature Reviews Drug Discovery 19, 4 doi: 10.1038/s41573-019-0053-0
タンパク質治療薬とペプチド治療薬は、非経口投与薬であることが必要だが、これが、服薬アドヒアランスの妨げになる場合がある。そのため、これに代わる送達戦略の開発研究が、特に内分泌疾患の治療に使用されるインスリンなどのペプチドについて広範に進められている。とりわけ望ましいのが経口送達だが、胃腸管の構造編成と生理機能に関連する重大な障壁に直面している。本論文では、こうした障壁の克服を目的とした戦略、例えば、透過促進剤、腸内酵素阻害剤、粘液透過性ペプチド、細胞透過性ペプチドなどを取り上げた上で、臨床試験の段階に達したインスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、バソプレッシンなどの経口ペプチド薬の経験に焦点を合わせて考察し、2型糖尿病の治療に用いるグルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬セマグルチドの経口製剤に対する最近の画期的な承認につながった研究の進歩を重点的に紹介する。