Review Article
Gタンパク質共役型受容体を標的とするペプチド治療薬の進歩
Nature Reviews Drug Discovery 19, 6 doi: 10.1038/s41573-020-0062-z
ペプチドによって活性化される経路の調節不全は、さまざまな疾患を引き起こす。このため、ペプチド薬の創薬および臨床開発が促進されている。数多くの内在性ペプチドが、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を活性化する。これまでに50種類近くのGPCRペプチド治療薬が承認されていて、そのほとんどは代謝疾患あるいはがんの治療薬であり、ファースト・イン・クラスになる可能性があるペプチド薬が10種類以上、開発パイプラインにある。既存のペプチド治療薬の大部分はアゴニストであり、これは、ペプチド結合性GPCRに対するリガンドの内在性ペプチド配列を変更するという現在の主流の戦略を反映している。化学的新奇性を導入してドラッグライクな性質を改善するために新しい戦略が採用されることが増えており、アゴニストとアンタゴニストの両方が開発されている。薬力学的な改善が進んでいるために、有効性を最適化して副作用を減らすことを目的として、バイアスのあるリガンドに特定の下流のシグナル伝達経路を活性化させることが可能になっている。薬物動態的には、血中濃度半減期を延長する修飾が革新をもたらしている。本総説では、GPCRを標的とするペプチド治療薬の現状について、薬物動態学的性質および薬力学的性質を改善するための発展中の戦略に焦点を合わせて考察する。