Perspective

プライムブースト法における抗腫瘍樹状細胞ワクチン接種

Nature Reviews Drug Discovery 19, 9 doi: 10.1038/s41573-020-0074-8

ワクチン接種による抗腫瘍免疫の誘導は、強力な抗がん戦略となる可能性があるが、大規模な患者集団において確実な臨床上の恩恵はまだもたらされていない。複数の大きな障害が依然として存在しているが、我々は、樹状細胞を標的とするワクチンまたは樹状細胞を使って抗腫瘍抗原を提示するワクチンに関する現在利用可能な戦略は、プライムブースト法を用いることで既存の臨床診療に組み込むことが可能だと考えている。プライムブースト法は、プライミング段階で、in situワクチン接種を引き起こして腫瘍抗原の放出を誘発する標準的治療法か、腫瘍溶解物または患者特異的なネオアンチゲンを加えた樹状細胞のワクチン接種を行う標準的治療法のいずれかを利用する。それに続くブースト段階では、個別化された合成ワクチンが、プライミング段階で誘発されたT細胞を特異的にブーストする。この免疫療法は、最近になって樹状細胞ワクチンが大幅に改良されたことで可能となった。このPerspectiveでは、こうした改良点を論じ、臨床診療へのプライムブースト法の応用過程を明らかにし、予想されるさまざまな障害に対する解決策を示す。

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