Perspective
生物医学研究における創薬標的評価の改善:GOT-ITの提言
Nature Reviews Drug Discovery 20, 1 doi: 10.1038/s41573-020-0087-3
学術研究(標的の生物学的性質の探究、標的と病状の関連性の解明など)は、新規薬剤標的を特定する上で重要な役割を果たしている。しかし、新薬開発につなげるためには、純粋に学問的な探索研究から、薬剤候補の特定と一般的にバイオ医薬品企業が実施する臨床試験による薬剤候補の検証の着手への移行が必要である。この移行は、標的評価の側面にタイミングよく注力することによって促進できる。具体的には、標的に関連した安全性の問題、ドラッガビリティーやassayability(標的に対する評価系の構築が可能か)、確立した治療法との差別化を達成するための標的調節の可能性などである。本論文では、GOT-IT作業グループによる提言を紹介する。この提言の目的は、学術研究者やトランスレーショナル研究の資金提供者が、標的評価作業の内容を把握し、優先順位を設定できるようにし、科学的な目標だけでなく、ライセンス供与、産学提携や臨床開発プログラムの構築に関連した目標を達成するためのクリティカルパスを決定できるよう支援することにある。GOT-ITフレームワークは、標的評価のさまざまな分野に関する一連のguiding question(考えさせるための質問)からなり、トランスレーショナル研究をさらにロバストで効率的にする要因に対する学術研究者の認識を高め、産学連携を促進することを目的としている。