Review Article

免疫チェックポイント遮断を超えて:新たな免疫学的戦略

Nature Reviews Drug Discovery 20, 12 doi: 10.1038/s41573-021-00155-y

チェックポイント阻害剤の成功によって、さまざまな種類の単剤および併用免疫療法の臨床への導入が加速した。しかし、単剤療法としての免疫療法、あるいはチェックポイント阻害剤との併用による多くの免疫療法が臨床へと橋渡しされていないことから、この分野を前進させるためには新しい戦略を採用しなければならないことが明確になった。免疫療法の次の章では、免疫腫瘍療法の失敗について検討し、より効果的な抗がん剤さらに適切に設計するために、免疫細胞とがん細胞の相互作用の複雑さを考慮する必要がある。本総説では、免疫療法とチェックポイント阻害剤の歴史を簡潔に概説し、これによって重要な臨床的失敗が浮き彫りとなった。また我々は、腫瘍微小環境(TME)内の免疫過程の重要な側面について、T細胞補助受容体という範疇を超えて考察する。これは、免疫腫瘍学における新しい治療戦略を築き上げるための道筋として役立つ可能性がある。腫瘍生物学に関する新たな知見からは、将来的に成功する治療法は、TMEにおけるT細胞のホーミングと機能不全を回復させること、TMEの炎症性リモデリングのために単核食細胞機能を取り戻すことという2つの重要な要因に焦点を合わせることになるだろうと示唆されている。新薬は、腫瘍内、およびさまざまながん種間に存在する複雑な細胞ネットワークを考慮する必要があるだろう。

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