Review Article

糖尿病の先進治療のために幹細胞から膵島を再構築する

Nature Reviews Drug Discovery 20, 12 doi: 10.1038/s41573-021-00262-w

糖尿病は世界中で4億6000万人以上が罹患している代謝疾患である。1型糖尿病(T1D)は膵β細胞の自己免疫性破壊を原因とし、2型糖尿病(T2D)は膵β細胞の疲弊と機能不全をもたらす過酷な代謝環境を原因としている。現在、第一選択薬は、症候性インスリン抵抗性と高血糖に対する治療効果があるが、進行性のβ細胞量減少とβ細胞機能低下を予防する効果はない。そのため、糖尿病の進行の初期に内因性β細胞塊を防御もしくは再生する先進治療法、または失われた膵β細胞機能を幹細胞由来のβ様細胞もしくは遺伝子操作された膵島様クラスターで置換する先進治療法を開発する必要がある。本総説では、最先端の幹細胞分化と膵島の組織工学的再構築を考察し、この分野における現在と将来の課題を検討して、これらの細胞を用いた細胞置換療法、疾患モデル化と薬剤開発の可能性を特に論じる。こうした幹細胞と再生医療の研究は、将来の生物医学的ブレークスルーと糖尿病の根治的治療の基盤となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度