Review Article
アンチセンス技術:その概要
Nature Reviews Drug Discovery 20, 6 doi: 10.1038/s41573-021-00162-z
アンチセンス技術は、RNAを標的とすることで病気を治療するという期待を、現実のものにし始めている。9つの一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)医薬品(4つの化学クラス、2つの作用機序、4つの投与経路)が市販用に承認されており、この中には商業的に大きな成功を収めた最初のRNA標的医薬品であるヌシネルセンが含まれる。承認されている全ての医薬品は希少疾患の患者用だが、後期および中期の臨床開発段階にあるASOの多くは、非常に一般的な病気の患者の治療を目的としている。開発中のASOは、医薬品化学、分子機構の理解、標的化送達の進歩に基づいて、効力と性能が大幅に改善している。さらに、開発中のASOには、新しい作用機序を持つものがあり、さらにはエアロゾルや経口製剤など投与経路が追加されている。本総説では、こうした進展を可能にした主要な技術的進歩について説明し、こうした進歩が広範な治療応用におけるASOの性能に及ぼした影響について示した最近の臨床試験について述べる。我々はまた、標的の選択などの戦略的に重要な問題について考察し、この分野の将来の展望を示す。