Review Article
固形腫瘍微小環境内でのCAR-T細胞の誘導
Nature Reviews Drug Discovery 20, 7 doi: 10.1038/s41573-021-00189-2
キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変されたT細胞の養子移入は、B細胞悪性腫瘍の治療において顕著な成功を示しているが、他のタイプのがん、特に固形腫瘍に対する有効性は限定的である。血液疾患と比較すると、固形腫瘍には、ロバストに発現し、腫瘍に特異な抗原標的がないこと、治療の安全性と有効性を制約する高度に免疫抑制的で代謝の困難な腫瘍微小環境などの一連の特有の難題がある。本論文では、固形悪性腫瘍の治療のために、こうした難題を克服し、腫瘍特異性が高められ、持続的なエフェクター機能を有する次世代T細胞を産生することを目指すタンパク質工学的戦略と細胞工学的戦略を概説する。