Review Article

創薬におけるゼブラフィッシュ疾患モデル:前臨床モデルの作成から臨床試験まで

Nature Reviews Drug Discovery 20, 8 doi: 10.1038/s41573-021-00210-8

最近臨床導入された、あるいは臨床試験段階に入った数多くの薬物療法は、ゼブラフィッシュから始まった。ゼブラフィッシュは、発生生物学への貢献が十分に立証されているが、ゼブラフィッシュの疾患の特徴、原因・進行と分子機構が、臨床に関連しており、高度に保存されていることから、今ではヒト疾患の強力な前臨床モデルとして台頭してきている。ゼブラフィッシュは、生理的に適切な用量範囲の小型分子と薬物療法に応答する。そして、ゼブラフィッシュを細胞特異的または組織特異的レポーターと遺伝子編集技術と組み合わせることで、複雑な1匹の個体全体を使って、各種組織における薬物活性の研究を長期にわたって単一細胞分解能で実施できる。こうした特徴からは、ハイスループット・ハイコンテント表現型スクリーニング、個別化医療とコンパッショネートユースのための現在入手可能な薬物のリパーパシング、さらには新しい薬物クラスの開発が可能になっている。ゼブラフィッシュを用いて探索された薬物とリード化合物は、臓器間作用機構を備えていることが多く、標的スクリーニング法では発見されないと考えられる。本総説では、ゼブラフィッシュが創薬のためのモデルとしてどのように重要なのか、創薬が始まる過程、医学上の発見におけるゼブラフィッシュの可能性を最大限引き出す今後の機会について論じる。

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