Review Article

インテグリン阻害剤の新たな治療機会

Nature Reviews Drug Discovery 21, 1 doi: 10.1038/s41573-021-00284-4

インテグリンは、細胞接着やシグナル伝達に関わるタンパク質で、広範な生物学的機能にとって極めて重要である。心血管疾患ではαIIbβ3インテグリン、炎症性腸疾患/多発性硬化症ではα4β7/α4β1インテグリン、ドライアイではαLβ2インテグリンを標的とした効果的な治療薬が上市されている。しかし、他の阻害剤、特にαvインテグリンのRGD配列に結合するサブファミリー(αvβ3など)内の阻害剤の臨床開発は、がん、眼科領域と骨粗鬆症の分野で重大な課題に直面している。これに関連したインテグリンであるαvβ6とαvβ1の新しい阻害剤が最近注目されるようになり、繊維化疾患(特発性肺繊維症、非アルコール性脂肪性肝炎など)の治療薬としての臨床試験が実施されている。インテグリン薬の設計は、過去の臨床試験から学び、新しい治療様式を探索し、薬理学と構造生物学の新知見を取り入れる機会に恵まれ、転機が訪れたとも考えられる。本総説は、生物化学、臨床化学と医薬品化学の各分野の研究を織り込んで、過去と現在のRGD結合インテグリン薬の創薬について考察し、αvインテグリンの小分子阻害剤を重点的に論じる。

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