Review Article

がん治療のツールと標的としてのマクロファージ

Nature Reviews Drug Discovery 21, 11 doi: 10.1038/s41573-022-00520-5

腫瘍関連マクロファージは、腫瘍微小環境に必須の構成要素の1つで、血管新生、細胞外マトリックスの再構築、がん細胞の増殖、転移と免疫抑制の調整だけでなく、化学療法薬とチェックポイント遮断免疫療法に対する耐性においても役割を担っている。逆に、マクロファージが適切に活性化されると、がん細胞の貪食と細胞傷害性の腫瘍殺傷を仲介し、自然免疫系と適応免疫系の構成要素と有効な双方向性相互作用を行うことができるため、がん治療の治療標的としても知られるようになった。マクロファージを標的とする戦略には、腫瘍を促進する骨髄系細胞の動員と極性化に関与するサイトカイン阻害薬とケモカイン阻害薬だけでなく、この骨髄系細胞の抗腫瘍作用と免疫刺激作用の活性化薬が含まれる。初期の臨床試験では、骨髄系細胞機能の負の調節因子(チェックポイント)を標的とすることが、確かに抗がん剤となる可能性が示唆されている。結局のところ、骨髄単球細胞が腫瘍組織に継続的に動員されることを考えると、マクロファージは、キメラ抗原受容体エフェクター細胞の開発とともに細胞療法の候補と言える。マクロファージ中心の治療戦略は、腫瘍科医療設備において現在利用可能なツールを補完し、相乗効果をもたらす可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度