Review Article
ペプチドとタンパク質の創薬における脂肪酸誘導体の合成
Nature Reviews Drug Discovery 22, 1 doi: 10.1038/s41573-022-00529-w
ペプチドやタンパク質は、さまざまな病状の治療に広く用いられているが、注射による投与が必要とされることが多く、その効果は短期間しか持続しない。こうした天然構造のペプチドやタンパク質の欠点は分子工学によって対処できるが、複雑な作業となる。ペプチドやタンパク質の脂肪酸誘導体の合成を必然的に伴う分子工学的技術が開発され、最初にインスリンに応用され、現在では数種類のバイオ医薬品に応用されて成功を収めている。この技術では、付加する脂肪酸の性質と付加部位を選定することで、さまざまな半減期延長機構が可能になる。さらに、この技術は、ペプチド薬の経口投与後の半減期を確実に長期化させ、ペプチドの分布を変化させることができ、組織標的化に利用できる可能性もある。脂肪酸には固有の安全性があり、その化学的性質が詳しく解明されているため、この技術はペプチドとタンパク質の創薬における汎用的な手法となっている。